自身が手掛けるMINEDENIMとのコラボレーションや、HYSTERIC GLAMOURとのナビゲート、WILDSIDEのビジュアルのスタイリング・ディレクションを手掛けてくれたスタイリスト野口強にクローズアップ。
――今回、野口さんがWILDSIDE YOHJI YMAMOTOとの関わり方やきっかけは、どんなことから始まったのですか?
野口:まずはMINEDENIMとのコラボレーションの話をいただきました。あとは、HYSTERIC GLAMOURディレクターの北村さんに話をしたらOKをもらって、今回WILDSIDEとのコラボレーションで参加してもらうことになりました。
――WILDSIDEとHYSTERIC GLAMOURは意外ですよね。
野口:YOHJI YAMAMOTOとHYSTERIC GLAMOURはブランドの世界観が対照的ですし、意外性がありますよね。今回は「黒」をテーマにHYSTERIC GLAMOURのフィルターを通して、北村さんが考えるWILDSIDEのTシャツを自由に作ってもらう、というところも興味深かったです。そのお題の内容は、MINEDENIMに関しても同じだったんですが。
――MINEDENIMでは、今回6アイテムを作っていただきましたが、コラボレーションを手掛けていただいたうえで、野口さんの中で何かイメージはありましたか?
野口:デニムジャケットとデニムパンツも、普段のMINEDENIMよりもビッグシルエットに仕上げています。ボーダーカットソーはWILDSIDEからのリクエストで制作しました。いずれにしても、何かポイントというかニュアンスがあったほうがいいかなと思って、デニムはハンドブリーチで柄を表現しました。MINEDENIMの定番で作っているスキニーデニムには、膝をクラッシュさせて、その部分にWILDSIDEというプロジェクト名のモチーフとなったルー・リードの曲をプリントで施したりしました。あとは、YOHJI YAMAMOTOで、もともとあるラップパンツのデザインを活かして、MINEDENIMのデニム生地を〈京都紋付〉に漆黒染めで黒く染めて仕上げてもらいました。
WILDSIDEのためにMINEDENIMが全6アイテムを手掛けてくれた。
ハンドブリーチによって柄を表現したMINEDENIMのブラックデニムのジャケット。同じ柄のパンツも作成。
――パリコレにほぼ毎シーズン欠かさず足を運ばれ、普段の撮影のスタイリングを含めて、YOHJI YAMAMOTOを長い間見続けてきた野口さんにとって、YOHJI YAMAMOTOというブランドはどんな印象を持たれていらっしゃいますか?
野口:YOHJI YAMAMOTOは、他のブランドと比べるとどこか男っぽい印象があります。あとは、シルエットもずっと昔からボリュームのある感じですし、レイヤードする点も印象的です。
――WILDSIDEはオンラインストアに軸を置きつつ、実店舗も出店するのですが、海外のお客様や若い世代に対して伝えたいことは何かありますか?
WILDSIDEのプロジェクト名のモチーフにもなったルー・リードの曲名を、ブラックデニムの膝をクラッシュさせた部分の当て布にプリントを施した。
野口:ECもそうなんですが、やっぱり着てみないとわからないし、ハンガーに掛かった服をトライして着てみてもらいたいですね。「黒」がテーマだったり、少し大きなシルエットだったりするものもあるので、今の若い人たちには受け入れやすいはずです。特に、ヨウジさんの服は、いい意味で、着るとお洒落に見えるというか、キャラクターを立ててくれるというか。そういう意味では興味深い服だと思うんです。だから、今の若い人たちにもヨウジさんの服が人気だったりもするだろうし、着たらしっくりきているんじゃないですかね。
――今の世代の人たちが服を選ぶうえで、清潔感を重視しているようにも思えるんですが、野口さんはどう思いますか?
野口:それは黒い服だろうが、デニムにTシャツだろうが、どんな服でも着る人と着方次第だと思うんです。服はもちろんだけど、髪型もそれなりに考えたほうがいいだろうし、靴も重要だろうし、そこはいろいろと重ねて考えていくとより楽しいと思います。
――今回、さまざまなブランドともコラボレーションを行うWILDSIDEに望まれることは何かありますか?
野口:WILDSIDEに期待するのは、アートでも本でも音楽でもいいと思うし、何かを発信する場所として、人が集まるお店になったら面白いかな、と。そこにYOHJI YAMAMOTOの色が強くなったらもっと面白くなるでしょうしね。個性があるお店になるといいですね。
野口 強 Tsuyoshi Noguchi
日本屈指の重鎮スタイリスト。今回は、WILDSIDE YOHJI YAMAMOTOのビジュアルのスタイリングをはじめ、自身がディレクションするデニムブランド「MINEDENIM」のコラボレーション企画を担当。また、長い間親交が深い「HYSTERIC GLAMOUR」とWILDSIDEのリレーションシップも担う。
Photos: Shunya Arai Interview & Text: Hiroshi Kagiyama