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Vol.03
POGGYが聞くNEEDLESとNOMA t.d.の服づくり
清水慶三 (NEEDLES)
野口真彩子&佐々木拓真 (NOMA t.d.)
WILDSIDEコラボレーションキュレーター 小木“POGGY”基史

小木“POGGY”基史のナビゲートのもと、コラボレーションウェアを手掛けてくれたNEEDLESの清水慶三と、NOMA t.d.の野口真彩子と佐々木拓真を迎えたクロストーク。

――今回のコラボレーションにまつわるお話しを聞かせていただく、POGGYさん主導のもと、清水さん、野口さん、佐々木さんにお集まりいただきましてありがとうございます。

POGGY:今回はWILDSIDEのための服ということを踏まえて、さまざまなブランドの方々と服づくりする企画を立てさせてもらいました。YOHJI YAMAMOTOのコレクションの服はもちろん素敵で好きですが、僕自身がセレクトショップの出身として、ベーシックに合わせられるものというか、YOHJI YAMAMOTOの世界観とは違うカルチャーが入り混じることも、WILDSIDEとしては面白いだろうなと思いまして、NEEDLESさんとNOMA t.d.さんにコラボレーションをお願いしたら、快く引き受けていただきましてありがとうございます。清水さんに今回の企画をお話しさせていただいた時に、昔YOHJI YAMAMOTOのスーツを着られていたとおっしゃっていましたよね?

清水:そうですね。「NEPENTHES」を始めてすぐくらいの頃なので、80年代後半か90年代頭に、「バーニーズ ニューヨーク」で、だったかな。場所は定かではないのですが、NYで冠婚葬祭用にブラックスーツが1着ほしくて購入しました。YOHJI YAMAMOTOだから、スーツだけどそれほどカチッとしていなくて、ショールカラーのジャケットにパンツもかなり太かった。当時、自分も30代そこそこで、髪が長くて結んでいたりもしたから、そのスーツがすごくよかったな、と覚えています。

POGGY:そうだったんですね。清水さんとENGINEERED GARMENTSデザイナーの鈴木大器さんが「REDWOOD」(*アメリカものを中心に扱う渋谷の老舗セレクトショップ)で働かれていた時代に、リーボックのエアロビ用のスニーカーを買い付けてきたお話しがとても印象に残っています。

清水:「REDWOOD」の店がファイアー通りにあった80年代半ばぐらいの頃、世間ではエアロビクスが流行り始めた頃ですね。晴海でスポーツ用品の見本市があって、そこにあるマネキンにリーボックのスニーカーを履かせていたんです。そのスニーカーを千駄ヶ谷にある会社が輸入していると聞いたので、取り扱いたい連絡をしたら、「これ、エアロビクスシューズですけど大丈夫ですか?」って聞かれたけど、早速仕入れたら、大器に「こんなの売れないよ!」ってものすごく批判されて(笑)。それで喧嘩して1週間ぐらい口も聞かなかったんだけど、ある時ランチ休憩からお店に戻ったら、大器がその靴を履いていたんです。「なんで履いているんだ?」って聞いたら、さっき耀司さん本人が店に来て、リーボックの黒いハイカットのエアロビスニーカーと、NYの郊外で安全靴とかを作っているエンディコット ジョンソンの真っ黒のペコスブーツを買っていただいた、と。大器もDCブランドが好きだったので、それから気に入って、「リーボック、最高だー!」みたいになっていました。

一同:(笑)。

POGGY:そのスニーカーって、上にベルクロが付いているタイプのスニーカーですよね?

清水:そう、「Ex-O-Fit」のLOWとHIカットですね。ミック・ジャガーとデヴィッド・ボウイの「ダンシング・イン・ザ・ストリート」という曲のPVに出ていて、それで一気に爆発したんです。

POGGY:そうだったんですね! 今回のWILDSIDEというプロジェクトの名前は、耀司さんが交流のあったルー・リードさんの曲名からインスパイアされているそうですが、清水さんも当時聴かれていましたか?

清水:もちろんです。今でも好きですし、アンディ・ウォーホルを含めてNYのアンダーグラウンドなイメージが一番ありますしね。

NEEDLESのアイコンである蝶と、「花と少年」の牡丹の刺しゅうが施されたNEEDLESのトラックパンツ。
牡丹はPOGGYの提案によって使用され、今回のWILDSIDEのコラボレーションの象徴となっている。

POGGY:僕は当時あまり聴いたことがなかったのですが、A TRIBE CALLED QUESTがルー・リードさんの曲をサンプリングしていたことで知りました。名曲だからこそサンプリングされて、違う世代に伝わっていくこともあると思うんです。そういう意味で、耀司さんが当時「花と少年」というコレクションで使っていた花の「牡丹」のモチーフを、サンプリングという言い方は少しおかしいですが、今の時代にNEEDLESさんやNOMA t.d.さんの服を通じて、「黒」というお題と、「牡丹」をアイコンにして伝えられたら面白いんじゃないかなと思ったんです。僕もNOMA t.d.さんの手刺しゅうのシャツがすごく好きなんですが、佐々木さんと野口さんは今回の「牡丹」というお題はどう思いましたか?

佐々木:僕たちの世代からすると、YOHJI YAMAMOTOさんのコレクションで牡丹が使われていた当時、すごく人気があった印象があったので、いいモチーフだなと思いました。自分たちがチャレンジするうえで、やりやすさはすごく感じました。

POGGY:佐々木さんはYOHJI YAMAMOTOの服は着ていましたか?

佐々木:周りの友達はみんな着ていましたね。洋服にすごく色気があるので、僕としてはあまり通っていないんですけど、テコンドーのシューズとかは僕でも履けるかなと思って買っていたりもしました。

POGGY:テコンドーシューズとか、今またいいですよね。まだわからないのですが、もしWILDSIDEの次のステップで、野口さんに牡丹を描いてもらえたりしたら面白いんじゃないかなと勝手に思っていたりもしていまして(笑)。

野口:ありがとうございます。今回作らせていただいた牡丹の手刺しゅうは、どうしてもディテールがボケてしまうんですが、それが手刺しゅうの良さでもあるので、その部分では当時のYOHJI YAMAMOTOさんがお使いのモチーフからは、NOMA t.d.らしくなっているのかなと思います。

POGGY:いいですね。NOMA t.d.さんは、普段黒い服ってあまり作らないですよね?

野口:最近、徐々に作り始めているんですよ(笑)。

佐々木:そういうタイミングとしても、今回の「黒」というお題もいただいて面白かったです。

野口:自分たちが黒い服を着るようになったんですよね。これまでは黒に少し抵抗があったんですけど、黒の良さを再確認した感じです。

POGGY:そうだったんですね。今回の企画では、黒をはじめ、赤や紫という日本らしい色も大切にしているんです。清水さんは、紫とかよく使われますよね?

清水:紫はうちのカラーですから(笑)。思い起こせば、子供の頃から紫とか黒が好きでしたね。映画館の緞帳とか、法事とか行くとお寺で紫を使っているのを見て、きれいだなと思っていました。

POGGY:今回のコラボレーションでは、赤も差し色で使っていただいて、いつもと少し違う感じが伝わってきます。NEEDLESさんとNOMA t.d.さんともに、色気みたいなものを感じるんですが、清水さんもカジュアルの中の色気みたいなところを意識されていらっしゃいますよね?

清水:NEEDLESに関しては、そういうところは意識していますね。

POGGY:NOMA t.d.さんが今回作ってくれたこのブルゾンのブラックデニムの素材は、今回新たに取り入れていただいたものでしたよね?

野口:はい、インラインでは使っていない生地ですね。

POGGY:生地も刺しゅうも綿なので、着込んでいくと味が出ていくような風合いもいいですね。NOMA t.d.さんの服は、決して派手ではないじゃないですか。でも、ベーシックなものって着る人によって変わるのが魅力でもありますよね。

野口:おっしゃるとおりで、NOMA t.d.ではそれを打ち出したいんです。ウィメンズはもう少し別の感覚なんですけど。イギリスのウィメンズのバイヤーさんに、ベーシックな服はスタイルによって変わるのが面白いと思うって話をしたんですが、日本人のファッション偏差値が高いからやれているけど、海外ではまだウィメンズとした服を求められているお店も一部あるみたいですね。

佐々木:ブランドを始めて実は17年経つんです。本格的に海外の主要都市でも展開が始まってから6、7年になりますが、清水さんたちと一緒に海外の展示会に出させていただいた後に、「MAXFIELD」とか海外のいいお店にも取り扱いを始めていただいたんです。

清水:ずっとやっていくと、よくなっていくんじゃないですかね。

――みなさんのおかげで豪華かつ意外性のあるコラボレーションが実現して、発売が楽しみです。今日はありがとうございました。

NEEDLES
Profiles
清水慶三 Keizo Shimizu
渋谷のセレクトショップ「NEPENTHES」の代表であり、「NEEDLES」のデザイナー。30年以上にわたり世界各国を訪れ、様々なプロダクトを世に送り出してきた経験をもとに、自身の世界観を投影する、パーソナルな視点からのコレクションを制作するブランドとして、1995年に「NEEDLES」を発足。
野口真彩子 Masako Noguchi / 佐々木拓真 Takuma Sasaki
Profiles
野口真彩子 Masako Noguchi / 佐々木拓真 Takuma Sasaki
テキスタイルデザイナーとして活動していた野口真彩子と、セレクトショップのディレクターやバイヤーを経験した佐々木拓真がデザイナーデュオとして、2005年にブランド「NOMA t.d.」をスタート。ハンドドローイングを活かした個性的なテキスタイルと、伝統技術に新しい視点を加え、コンテンポラリーなコレクションを展開。
POGGY
Profiles
小木“POGGY”基史 Motofumi “POGGY” Kogi
「ユナイテッドアローズ」のPR/バイヤー/ストアディレクターを経て、2018年に独立後はファッションキュレーターとして多岐にわたり活動。WILDSIDE YOHJI YAMAMOTOではコラボレーションのナビゲーターの一人として参加。

Photos: Shunya Arai Interview & Text: Hiroshi Kagiyama