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Vol.7
TAKAY氏がYohji Yamamoto POUR HOMME 2022-23 Autumn/Winter Collectionを捉えたフォトワーク
 

WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO OSAKAで開催中のフォトインスタレーションの会場で、TAKAY氏にインタビュー。

 

―Yohji Yamamotoとの最初の接点について聞かせてください。

一番最初は、僕がニューヨークに行って少し経った頃、当時のi-Dの編集長テリー・ジョーンズさんより話をいただいて、ドイツの出版社TASCHENがYohji Yamamotoの書籍を出す際に、リアルなルポタージュを東京で撮影してくれないか、と依頼を受けました。その撮影で、蜷川幸雄さんや、ヨウジヤマモト社のスタッフたちをモデルに撮らせていただいたのが出会いです。
その後、東京で前回モデルとして撮影したヨウジヤマモト社の方に再会しました。久しぶりにお話しをし、何か一緒に作品を作りたいなと思い、ヨウジヤマモト社のアーカイブ・コレクションを撮らせてもらえないか、とお伝えし、それが実現しました。それが、2020年に出版した写真集『Fluence : The Continuance of Yohji Yamamoto』です。

―その後、2021 S/Sコレクションから継続的にYohji Yamamotoのショウの写真を撮影していただいています。

その時はニューヨークがパンデミックになり、東京に帰ってきて、日本を拠点に仕事をしていました。そのタイミングでヨウジヤマモト社より、東京でショウをやるかもしれないので協力してもらえないか、とお声がけいただきました。

―現時点で4シーズンほど、ショウの撮影に携わっていただきました。

Yohji Yamamoto POUR HOMMEに加えて、FEMME (Yohji Yamamotoのウィメンズ・コレクション)も1度撮影させていただきましたし、4シーズンほど携わっています。2022年1月と6月は観客を入れたショウの撮影で、ショウ全体のディレクションも担当しました。

―観客が入るショウ全体をディレクションするというのは、フォトグラファーの領域を超えたものだと思いますが、いかがでしたか。

ものすごく刺激的でしたね。最初はショウのディレクションという形ではなく、撮影のみで参加し、映像を撮って、デジタル形式でパリ・コレクションにて発表するということを3シーズンほどさせていただきました。そのうちに、耀司さんの仕事の仕方や、美意識など、学ぶことがすごく多くて……その学びから、自然とショウをやっているような感覚で撮影をしていました。なので、実際に観客のいるショウの撮影でも意外とすんなりと撮ることができました。

―今までのヨウジヤマモト社の撮影で最も印象深いことは何ですか。

2021年に初めてショウの映像を作った時です。耀司さんを前にして撮影するということが初めてでした。僕が走り回りながらモデルを歩かせて撮影している姿を見て、耀司さん自身も、座りながら自分のランウェイを見ることは今まで1度もなかった、観客として見ているような感じだと、おっしゃっていたのが印象的でした。

―山本耀司の第一印象はどうでしたか。

とてもチャーミングな方です。でも厳しいところはすごく厳しい方。そして、黒はもちろんですが、白に対してのこだわりがあって。耀司さんは蛍光灯のような白が嫌いなんです。少し生成りがかった白を、こだわりを持って選ばれます。クリエイションにおいて手触り感を大切にされていると思いますし、とても繊細な美意識を持っていらっしゃる方だと思いました。

―ヨウジヤマモト社の写真をたくさん撮っていただいてきましたが、作品にして展示するのは初の試みです。作品にされた写真を選んだ理由や組み合わせの意図を教えてください。

Yohji Yamamoto POUR HOMME 2022-23AWのフォトブックを制作した時に、自分が撮り続けてきたランドスケープの写真と世界観が合うんじゃないかな、と思い組み合わせて使わせていただいていて、その世界観を今回の作品にも落とし込みました。ポートレートとランドスケープを組み合わせることで、1枚ずつ作品にするよりも広がりのある世界観を表現することができると思っています。

―そのエッセンスがそのまま作品に落とし込まれているのですね。TAKAYさんのお気に入りの作品はどれですか。

足が写っている写真(#3)が好きです。象徴的だなと思っています。

―今後の活動の予定を教えてください。

パリで行われる次のYohji Yamamoto POUR HOMME 2023-24 A/Wのショウも行く予定ですし、AKIO NAGASAWA GALLERYさんで発表させていただいているような作品制作も今後の構想があります。
(現在は、東京のAkio Nagasawa Gallery Aoyamaで「TOKYO HANABI」を開催中。~2023年1月28日まで)

WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO OSAKA
TAKAY: Photographs from Yohji Yamamoto POUR HOMME 2022-2023 Collection
AKIO NAGASAWA GALLERY
2022年12月16日 - 2023年1月6日

TAKAY
1973年生まれ。1996年渡英、イギリスのファッション誌「i-D」でキャリアをスタート。現在は東京とニューヨークを拠点に「Harper's Bazaar Germany」「L'UomoVogue」といったファッション誌から「ArmaniJeans」「Y-3」の広告など、ワールドワイドに活躍。主な出展歴として、2001年にヴィクトリア&アルバート博物館で開催された展覧会の拡大版「Bravehearts: Men in Skirts」(メトロポリタン美術館、ニューヨーク、2003年)やシャネルの歴史とクリエイティブな側面に焦点をあてた作品を出品した「CULTURE CHANEL」(上海当代芸術館、上海、2011年)、2011年から2016年にかけて世界中の12都市を巡回した「The Fashion World of Jean Paul Gaultier: From the Sidewalk to the Catwalk」、「PUNK: Chaos to Couture」(メトロポリタン美術館、ニューヨーク、2013年)等多数。2016年に『ECHOS』、2020年に『Fluence: The Continuance of Yohji Yamamoto』、2022年にAkio Nagasawa Publishingより『IN PRAISE OF SHADOW(HOMAGE TO TADAO ANDO)』を出版。